高校生から「自分はADHDかもしれない」と相談されることが増えました。
高校生のADHDについて情報共有と、学校での対策について書いてみたいと思います。

高校生のADHD症状は?

まず、ADHDというのは注意欠陥・多動性障害のことです。
不注意な言動や、衝動的な行動が特徴で、忘れ物が多かったり、ガサガサしてしまうことが多いようです。

また、思ったことを衝動的に口走ってしまい、学校の授業中でもそのコントロールができないこともあります。

「お弁当、忘れたらあかんで」と言っても2秒後には忘れてしまい、慌てて学校に行く、というのもあります。

これらに当てはまらないけど「自分はADHDかもしれない」と思う高校生も多いようです。
ADHDという言葉が発達障害の名称として広まったことで、学校生活に困りごとのある高校生が「私もADHDかもしれない」と悩むようになることもあります。
有名人が「自分はADHDだ」と公表したり「こんな症状がありました」と言っていると、自分もそうかも?と思う高校生も増えてくるわけです。

ADHDという言葉を聞いた高校生たちは「自分はADHDかも?」というよりも「自分は発達障害かも?」と考えているのかもしれません。

ADHDの他にも発達障害は種類がたくさんある

発達障害はADHDの他にもあります。
ADHDは不注意が目立ったり、感情や行動のコントロールができないことがありますが、ADHD単体では人とのコミュニケーションには問題ありません。

ADHDと名前が似ている発達障害に、ASDというものがあります。これには人とのコミュニケーションを苦手とする特徴があります。
発達障害は例えばADHDだけ、とかASDだけ、というより複数のものを持っている可能性もあります。

しかし、「発達障害」というのはその症状や特徴だけでは発達障害とは言いません。
日常に困難があって(精神医学界の診断基準を満たして)初めて、発達障害ということになります。

自分はもしかしてADHDかも?と考え始めると診断を受けたくなるかもしれないんですが、臨床心理学を専攻した身としては、診断はちょっと待ってほしくも思います・・

ADHD診断を受ける意味とは?

自分はADHDかもしれないと不安に思って誰かに診断してほしいと思うかもしれません。
もしADHDや他の発達障害の症状があったとして、診断を受けにいく前に、ADHDであるという診断を下されることのメリットについて考えてみてください。

ADHDという診断があればお金もらえるとか高校卒業がより簡単になるとか、診断を下されることによってメリットがあれば医師に診断をつけて貰えば良いでしょう。
しかし実際には診断によるそのようなメリットは少ないです。

もし自分がADHDかもしれないと悩んでいるなら、周りの人に困っている状況について知ってもらったり理解してもらうことが必要です。
診断されたADHDは「障害」なので、自分一人でコントロールできるものではありません。
周囲からの理解や協力が必要になります。
ADHDの診断があれば、周りの人に理解してもらいやすくなるかもしれません。
しかし多くの人は、発達障害と聞いてもどのように対処すれば良いのかわかりません。

ADHDなどの発達障害は見た目にはわかりにくいこともあり、「診断があります」と言えば理解してもらいやすくなるかもしれません。
ただ、診断を受けることで、自分はADHDであるというレッテルを自分自身も強く持ってしまうデメリットもあります。

高校生や大人になってからADHDなど発達障害の診断を受けることで、ことあるごとに「ADHDだから仕方ない」とか「これもADHDのせいだろうな」とか、一種の諦めモードを自分自身が作り出してしまうことにも繋がります。

(ただ、発達障害の診断があることによって、就労支援を受けることができたり、障害者枠の求人に応募できることもあります。)

誰もが発達障害かも?

発達障害の中にADHDというものがあり、ASDというものがあり、学習障害というのもあります。
それぞれの症状について調べてみると、意外とみんな何かしらには当てはまっているのではないでしょうか。

かくいう筆者は国公立大学の卒業であり、学習面は問題ないかと周囲からは思われていたと思うのですが(20年ほど前の話で恐縮です)、なぜか土地の名前などが覚えられず、地理とか日本史の点数だけ見ると「よくそんなんで大学進学できたな」と言われることが多々あります。皆さんが常識的に知っているような地名とかを私は覚えられないのです。これは、学習障害の傾向かもしれません。また発達障害という分類からは外れますがパーソナリティ障害の傾向はあったと思います。
(パーソナリティ障害は精神面の成熟とともに症状がおさまっていくものでもありますので、もし実際にお会いすることがあっても怖がらないでくださいね。)

また、うちのキャンパス長は明るく、リーダーシップもありつつギャグセンスも抜群で、高校生たちから大人気なのですが、スタッフから見ているとADHDでは?と思うところが多々あります。伝言の聞き違え(不注意)、大事な書類を置き忘れ(不注意)、教室内でじっとしてられない(多動)、ずっと喋ってる(多弁)などなど・・ADHDの傾向があったとして、粗探しをしようと思えばいくらでも出てくるわけです。

要するに、実は誰しも発達障害なり何なりの要素は持っているんじゃないかというわけです。

一応、本人の名誉のために書いておくと、キャンパス長はみんなの人気者です。また本人が困ってないので障害ではありません。

もしかしてADHDかもと思ったら

自分がADHDなり他の発達障害かもしれないと思うということは、何か日常生活で困っていることがあるんですよね。
それを人に相談したら「怠けてるあんたが悪い」とか言われそうで相談しづらかったりすることもあると思います。

ADHDも他の発達障害も、症状のことが一般的には知られていないことも多く、本人の意思の弱さや怠惰な性格だと決めつけられることもあります。

でも、周りに相談してみて欲しいです。
自分はADHDかもしれないと思うのは、今も困っている証拠です。

何に困ってるのか相談してみると、解決策を一緒に考えることもできます。

我々高校のスタッフたちも、みんなが発達障害のことを勉強して、困っていることを一緒に解決できるようにならねばと思います。
KG高等学院なんば・岸和田・枚方・四條畷のキャンパスではカウンセラーがおり、発達障害についての理解に努め、その情報共有を日々行なっています。